【ポイントは労働人口】少子高齢化で年金崩壊ってホント?

お金のこと

皆さんこんにちは。老後の生活を支えてくれる年金ですが、
年金に対して明るいイメージをお持ちの方は少ないのではないでしょうか?

「少子高齢化が進み、年金制度は崩壊する」なんて、
不安になるようなニュースも見受けられます。

その根拠は何なのでしょう?
総人口や年齢区分、労働人口などの視点から考えてみました。

年金崩壊の根拠

まず、皆さんご存じかとは思いますが、日本の人口は減少傾向にあります。
総務省による人口推計調査によると、
2011年頃から日本の人口は減り続けているようです。

また、年齢区分でみても
「少子高齢化社会」であることは事実として正しいと言えるでしょう。

参考サイト:総務省による人口推計と年齢区分について

では、「少子高齢化が進み年金制度が崩壊する」という
論旨の根拠は何なのでしょう?

これも皆さんご存じかとは思いますが
「高齢者1人を現役世代何人で支えるか」という問題で
「少子高齢化が進むと現役世代の負担が重くなり年金制度は持たなくなる」
という話です。
2025年には「労働生産人口1.8人で高齢者1人を支える」という推計もあります。

参考:財務省コラム

これは一見非常に理にかなっていて、納得のいく話に思えます。
でもこれは本当でしょうか?もう少し深く考えてみましょう。

上記は65歳以上を支えられる世代として見たときの数字

そもそも論になりますが、公的年金のような社会保険制度は
現役で働いている人が負担することで機能しています。

つまり、65歳以上であっても働いていれば保険料は払っているはずですし、
逆に若い世代でも働いていなければ、保険料は払えません。

今は再雇用制度によって、65歳以上でも働いてる人はたくさんいます。
労働人口に占める65歳以上の人の割合は

1970年は4.5%だったのに対し、
2020年は13.4%と上昇しています。

参考:令和3年版高齢者社会白書 2節1項 P6
参考:令和3年版高齢者社会白書 全体版

皆さんの身近でも働いてるおじいちゃん、おばあちゃんは
多いと思いますので体感的に納得いくところでもあるでしょう。
 
保険料を払っている高齢者が、高齢者(もしくは非労働者)を支える‥。
なんだか「老々介護」のような話ですね。。

以上のように「支える世代と支えられる世代」は
年齢で区切るのではなく「支える労働人口と支えられる人口」
考えるのが妥当といえます。

支える労働人口は何人を支えているかを考える

では、「支える労働人口が何人を支えているか」というのを
年代別に見てみましょう。

1970年ーー1人が1.05人を支える
1990年ーー1人が0.96人を支える
2020年ーー1人が0.89人を支える


以上のように、50年もの間での変動はわずか0.16人です(しかも減ってる)
この50年で高齢者の人口は増えているのに、
1人あたりが支えなければいけない人数は、わずかですが減っているのです。

これは、先ほど申し上げたように現代では高齢者の労働人口が多いこと、
1970頃の定年は55歳の企業が多かったこと、
女性の社会進出が進んだこと等が理由として挙げられます。
(1980年から2020年の40年間で専業主婦世帯がおよそ半分になり、
共働き世帯が倍近くになったというデータもあります。)

このように労働人口でみれば「支える人、支えられる人」の割合は
長期にわたってあまり変わっていないことがわかります。

結論

以上のように考え方の切り口を変えてみれば、
一概に「年金制度は崩壊する」とも言えないでしょう。

個人的には、
「自分が生きている間に制度として機能しなくなる可能性は低いが、受け取れる年齢や金額は満足のいくものにはならないだろう」
といった感じで考えてます。

今後、高齢者の労働人口はますます増えていくでしょう。
2021年の4月からは、70歳以上の就労機会の提供を
企業に対して努力目標として課すという動きもあります。

企業の定年もどんどん引き上げられ
「定年65歳、再雇用70歳」というのは、そう遠い話ではないでしょう。

私がおばあちゃんになっているときは、
どんな社会になっているのでしょうか?

社会の変化に柔軟に対応していけるようになりたいものですね。

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